【京都議定書 第一約束期間スタート】達成目標の計画とその進捗は…国交省自交局担当者に聞く《後編》

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【京都議定書 第一約束期間スタート】達成目標の計画とその進捗は…国交省自交局担当者に聞く《後編》
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(前編よりつづく)地球温暖化ガスの合計排出量を2012年までに1990年比5%以上を削減するという京都議定書の第一約束期間が2008年より始まった。電気自動車やプラグインハイブリッドなどの次世代パワートレイン燃費基準に対する見通しなど、行政担当者に話を聞いた。 

◆「次世代パワートレインの燃費基準策定は今後の大きな課題」

----:各自動車メーカーは、2009〜2010年にかけてHV、PHV(プラグインハイブリッド)、EV(電気自動車)、FCV(燃料電池車)など様々な非内燃機関の自動車を登場させるとアナウンスしている。このような次世代パワートレーンの評価基準はどのように考えているか。

国土交通省自動車交通局 技術安全部環境課 地球温暖化対策室 課長補佐 多田善隆氏:現状はガソリン/ディーゼル車のみの基準であり、EVやFCVの評価基準はない。おそらく2015年くらいまでは化石燃料を使う自動車が主だろうが、次世代パワートレーンの燃費基準をどうするかというのは今後考えなくてはならない大きな課題。2015年の基準に反映させるべきか、それとも別の基準、たとえば“電費”基準を新たにつくるのか、といったことが考えられる。

----:PHVが普及するとガソリンはほとんど消費しなくなる。その意味ではPHVはガソリン車というより電気自動車の延長。そうなったときに、燃費基準をどう定めるか。

多田氏:この2月にPHVの燃費の測定方法を開発する検討会を設置した。現在のクルマは化石燃料だが、PHVはガソリンも使えば充電もする。さらに充電量はユーザーによって違う。燃費測定法は検討中だが、PHVのような新しい動力源をもつ車両はCO2の排出量やWell-to-Wheel(燃料の採掘から車両走行まで)の考え方で測定するのか、方針はまだ模索の段階。もちろん、低公害車の支援措置を通じて普及は積極的に進めていく。

----:昨今ガソリン税が話題だが、EVやPHVではガソリン税をかけずにエネルギー補充ができる。国交省として、結果として税収が減るEVやPHV普及政策を推進できるか。

多田氏:CO2の削減と税収の話はまったく別問題。低公害車の普及は進めていく。

----:今後の低公害車の基準を定める際、省エネ法に基づいて燃料消費率で考えるのか、それとも地球温暖化対策としてCO2排出量で考えるのか、どちらにシフトしていくのか。

多田氏:当初、省エネ法は石油ショックでエネルギーをどうするか、という議論で始まったものだが、現在では省エネ法による燃費向上も地球温暖化対策のCO2削減も一体のものだと考えている。

◆エコドライブを支援するUIやシステムも燃費改善には重要な要素

----:エコランプや燃費計を装備する車両が増えている。e燃費のデータを見ると、同じ車両でも、ドライバーによって実用燃費のばらつきが大きいことが分かる。ハードウェアの燃費向上もさることながら、ドライバーの意識や感覚に働きかけて燃費を良くする技術は大きな余地がある。ドライバーの潜在意識に働きかける技術をどう発展させ普及させるかという視点の目標設定や評価はあるのか。

多田氏:エコドライブを支援するシステムの目標設定や評価は今までしっかりやってこなかったというのが正直なところ。われわれがエコランプや燃費計の設置を進めるメーカーを支援するというのは燃費改善の方法としてはあるかもしれない。ただしどういう支援をするかという問題はある。

----:クルマ本体の改善と道路環境の改善はどう連携していくか。

多田氏:京都議定書の達成計画では、国交省総合政策局の環境政策課と連携して物流の効率化や交通流対策の推進、公共交通の推進なども盛り込んでいる。今後も省内だけでなく関係機関との連携を進めながら目標達成に向けて努力していきたい。

《北島友和》

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