420psの8気筒エンジンをふたり分のシート背後にミッドマウント。しかも、そんなモデルの初試乗の舞台は濡れた高速サーキット……、となれば、そこでは「いかなるじゃじゃ馬ぶりに手を焼かされるのか」と嫌でも心配になってしまうもの。
ところが、そんな懸念とは裏腹に、コースへと躍り出たこのモデルの何と扱いやすかったことか。
ミッドシップ・レイアウト+4WDとくれば、そのトラクション能力が鉄壁の構えであるのは予想ができたものの、ハンドリングのイージーさえもが期待を遥かに上回るもの。お尻の流れ出しもフロントのドリフトアウトも動きがとてもゆっくりで、ハイペースでのサーキット走行中でも落ち着いた対処が可能。
官能的パワーフィールや強靭なブレーキの効きも、もはやスポーツカーの枠を飛び越えて“スーパーカー”のそれと納得できる仕上がりぶり。そんなアウディ車らしからぬ(?)とびきり高度な走りの快感は驚きのレベル。
■5つ星評価
パッケージング:★★★★☆
インテリア/居住性:★★★★☆
パワーソース:★★★★☆
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★☆
河村康彦|モータージャーナリスト
1985年よりフリーランス活動を開始。自動車専門誌を中心に健筆を振るっているモータージャーナリスト。愛猫家なのに猫アレルギーが発症し、このところ辛い毎日……