東レはこのほど、PAN系炭素繊維「トレカ」の生産設備増強を決定した。同社の愛媛工場(愛媛県松前町)に、年産能力1000トンの産業用特殊細物炭素繊維焼成設備を増設し、2009年7月から稼働を開始する。
今回の決定に伴う総投資額は約160億円。この増設によって、愛媛工場の炭素繊維生産能力は年間8300トン、またグループ全体の生産能力は年間1万8900トンに拡大する。
細物炭素繊維は、優れた成型加工性を有するのが特長で、デザイン性や高度な設計対応が求められる自動車部材や自転車フレーム、産業用ロボットなどに加え、航空機の二次構造材(主翼の動翼部分)に採用されている。
東レでは、特に自動車分野での需要拡大を目指しており、「コストを大幅に下げて、アルミ並みの価格に持っていき、2015年ぐらいに登場するクルマには炭素繊維をどんどん使ってもらえるようにしていきたい」と自動車材料戦略推進室の胡谷一路室長は話している。