トヨタが2007年12月に発表した『パートナーロボット』の発表会場で、パフォーマンスで注目を集めたのはヒューマノイドロボットである「バイオリンロボット」だろう。
イギリスの作曲家、エルガーの「威風堂々」の旋律を、ビブラート付きで朗々と演奏してみせた。弓を持つ右手はバイオリンの弓を適度な圧を保ちながら“ボウイング”させる機能を持ち、弦を押さえる左手の指先には、ビブラートをかけるための指先ピストンとでも言うべき可動式の押さえが装備されている。
もっとも、バイオリンの自動演奏機自体は、昔から様々なタイプのものが存在していた。このバイオリンロボットは、ヒューマノイドにバイオリンを弾かせることができたということ以上の意味合いはあまりない。
トヨタ自身、バイオリン演奏だけでなく、「さらに汎用的に道具を使えるように腕や指の自由度を増やすなど、高機能化へ向けた開発を行う」としている。
トヨタのロボット開発チームはかつて、ロボットだけの楽団を作りたいと語っていた。先行して完成していたトランペットロボットで、金管楽器の目処はついていた。このバイオリンロボットの完成で、弦楽器についてもある程度の技術的見通しが立った格好だ。まだフルート、ピッコロなどのエアリード系木管楽器など難関はあるが、ロボットによるフルオケ編成の夢には一歩前進したと言える。