トヨタが2007年12月に発表したパーソナルロボットのプロトタイプのひとつ「モビリティロボット」=『モビロ』は、左右2輪配置のディメンションを持つ1名乗車型ロボットだ。
「将来の用途としてはお年寄りや体の不自由な人のクオリティオブライフ(生活の質)の向上や、アミューズメント向けなどが考えられる」(トヨタ関係者)という。
このロボットは人間が乗っても乗らなくても自律走行が可能。最高速度は6km/hと、歩道走行が可能な現行の電動シニアカーのレギュレーションに合わせている。発表会では若い男女二人がショッピングセンターで買い込んだものをロボットに載せ、人間の後をロボットがついてくるといったデモが行われた。
このロボットのコアテクノロジーは、左右2輪で安定して走行したり停止したりするためのセンシングおよび駆動系の制御技術。荷重のかかり方や姿勢を加速センサー、多軸ジャイロセンサーなどのセンサー類や、モーター制御を行うロータリーエンコーダーからフィードバックされる情報から分析し、転倒しないように左右輪の回転差を調節しているのだ。
このあたりの基本的な考え方は2001年に登場した、左右2輪で安定走行させる技術のパイオニア的存在であるアメリカの『セグウェイ』に似ている。
モーターについては最高速度が6km/hという低速であることから低出力で事足りる半面、自重150kg+乗員という重量物を駆動させる必要があることから要求トルクは大きいという、特殊なスペックが求められることから、低出力のモーターに減速ギアを装備してトルクを増幅するというギアードモーターを採用している。
トヨタは2004年に第1世代のパートナーロボットを発表した時から2輪走行ロボットのデモを行っていたが、早くも人が乗ることができるレベルに到達つつあることを示した格好だ。2008年後半からトヨタ社内、ラグーナ蒲郡、2009年にはトレッサ横浜で実用化のための実証実験を行うという。