【池原照雄の単眼複眼】ホンダが実現へ「水素で完結する家庭」

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【池原照雄の単眼複眼】ホンダが実現へ「水素で完結する家庭」
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◆米国で実験進む家庭用水素ステーション

ホンダが米国カリフォルニア州の研究開発拠点「ホンダR&Dアメリカンズ」(HRA)で実験を行っている家庭用水素供給システムを、現地取材する機会を得た。2008年夏から米国でリース販売を開始する新型燃料電池車『FCXクラリティ』に水素を充てんするデモンストレーションも行われ、近未来の水素社会とクルマの姿を垣間見た。

水素供給システムは「ホーム・エネルギー・ステーション」として03年10月から米国のエネルギー関連企業と実験を進めているものだ。日米の都市ガスとして一般的な天然ガスを水素に改質、燃料電池車の燃料用に圧縮・保存する一方、燃料電池で発電を行い、家庭に電気を供給する。

発電の過程で出る熱も回収し、給湯などに使う。いわば、クルマの燃料供給力も備えたコ・ジェネレーション(熱電併給)システムである。発電装置の出力は4kW、水素の生産能力は日量3N立方メートル。一般的な家庭での電気器具すべての電力と燃料電池車が1日走り回れるくらいの水素が得られるという実際的なシステムだ。


◆4世代目で大幅な小型化を達成

これまで写真でしか見たことのなかったステーションは、11月に新鋭機が投入されたことからも、筆者のイメージとは大きく異なるコンパクトなものだった。すでに4世代目という新鋭機は発電装置と水素精製装置を一体化するなどにより、システムの容積を初代機のほぼ4分の1程度に小型化していた。

ステーションを家庭に設置した場合、電力会社の電気とガソリン車を使う場合に比べ、CO2(二酸化炭素)の排出量は約30%削減され、エネルギーコストは約半分ですむという。

水素を得る燃料に天然ガスを使うのは、水素そのものがパイプラインを通じ、家庭に供給されるという究極の水素社会に至るまでの過渡期的措置である。都市ガスとしてインフラの整った天然ガスの利用は、近い将来に水素を活用するうえで現実的な提案だ。


◆ニワトリが先か卵が先か…

HRAの開発担当者は、「今後3年くらいで家庭での実用試験も検討したい」と、開発の進捗に自信を示した。もっとも、燃料電池車同様にこのステーションもコストという大きな壁がある。クルマに比べて小容量とはいえ、燃料電池も搭載しているからだ。また、燃料電池車をリース保有している家庭の存在もフィールド試験の条件となる。

だが、HRAのベン・ナイト副社長は「ニワトリが先か卵が先かというジレンマの解決に貢献したい」と強調する。需要の存在やコストを気にしていたのでは、先駆的な取り組みはできないというわけだ。

ホンダの燃料電池車の現行モデル『FCX』は、米国での個人リース車両が3台となった。来夏に販売が始まる『FCXクラリティ』では、車両の大幅な進化から、ホンダは個人ユーザーが一気に増えると見ている。3 - 4年後には、ホームステーションとクラリティをセットで導入する先進の「水素一家」がカリフォルニア州に登場することになるのだろう。
《池原照雄》

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