「現在の富士スピードウェイ(05年より現在のコースレイアウト)は、ダウンフォースのレベルで考えると、中速コース的なんです」と、木下美明・TMG副社長。25日のF1日本GPに向けての壮行記者会見で「富士のための開発計画は5月から進めてきた」という。
木下氏は以下のように説明する。
「(富士スピードウェイでは)先日のベルギーGPを戦ったスパ・フランコルシャンよりも、ややダウンフォースを増していきたいくらいなんですね。ただ、富士には長い直線がありますから、そこでのスピードも犠牲にしたくない」。ダウンフォースと直線スピード、相反するテーマの両立が求められるのはフォーミュラレースの常だが、富士では一層シビアなバランスが要求される。
「ラップタイムは1分17秒くらいを想定しています。最高速は310〜320km/h程度だと思いますね」。その最高速から、1コーナーでは一気に「80km/hくらいまで」減速するのだから、「ブレーキングパフォーマンスも富士では特に重要」なファクターとなる。
もちろん、エンジンパワーとその特性もキーポイントだが、「過去10年の気象データを利用してエンジン調整を行なっている」と木下氏。構えは万全だ。
「今季は、マシンの速さからいけば、我々はもっと上のポジションにあっていいはずなんです。そういった心のフラストレーションもありますので、すべてを富士にぶつけていきたい」と意気軒昂に語っている。
また、山科氏は昨年12月のチーム着任以来(現職は6月から)、「トヨタはトヨタ流で行く」を実践してきた、と力説。「聖域なきコミュニケーション」を軸にチーム内を“カイゼン”し、来季以降につながる戦いを展開してきた。「CFD(計算流体力学)に関しては、東富士研究所の支援を特に強く受けている」など、トヨタ全体がF1チーム(ドイツのTMG)のバックアップをしていることも強調している。
日本GPでの表彰台獲得を目指すトヨタ。少なくとも今季最高位の6位よりも上位での入賞を果たして、意地を見せたいところだ。