【池原照雄の単眼複眼】「生産技術力」で持続的成長を目指すトヨタ

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元町工場に生産技術機能を集約

トヨタ自動車が生産技術の開発体制を強化する。モノづくりの持続的な発展を目指す「サスティナブルプラント活動」の一環として推進するもので、2009年までに元町工場(愛知県豊田市)に車両系生産技術の機能を集約させる。

トヨタは同年に連結世界販売を1040万台規模に拡大させる計画であり、生産性や品質に直結する生産技術に磨きをかけることで、「量」の拡大に伴う「質」の低下を未然に防ぐ狙いだ。

元町工場では生産技術の機能集約に向け、09年8月までに新たな開発棟を完成させる。車体から最終組立に至る車両系の生産技術開発をここで集中的に行い、国内外の工場に移植していく。

◆設計との連携強化で製品開発も迅速に

この開発施設には設計など車両開発の技術者も常駐できるようにし、両部門の連携を強化する。

次世代ハイブリッドシステムなど「先端技術を早期に市場投入するには設計と生産技術の緊密な連携が必要」(渡辺捷昭社長)であり、製品開発のスピードアップにもつなげていく。

一方、トヨタは8月の夏休み明けから最先端の生産技術を導入した高岡工場(同市)の「革新ライン」を本格稼動させた。同ラインは、建設後40年を経過していた高岡工場のリニューアルとして構築したもので、ラインスペースや部品の待ち時間(リードタイム)を大幅に縮減している。

「革新ライン」は今後、「カナダ第2工場(08年稼動)や米ミシシッピ工場(10年稼動)などに順次展開する」(渡辺社長)計画。日本本社の生産技術部門による効率的なサポートが必要であり、元町への機能集約でそうした体制もつくる。

◆「248号」問題の解消にも

元町工場内には、03年に開設されたGPC(グローバル生産支援センター)がある。海外生産の急速な拡大に対応し、技能員のトレーナーを集中的に育成する施設だ。GPCには量産試作を行うための設備もあり、生産技術の新たな開発棟が完成すれば、人材育成から量産準備、新技術開発まで生産に関する一大拠点となる。

トヨタが本拠を構える豊田市内は国道248号線が縦断している。設計など開発部門と工場・生産技術部門は248号を挟み立地している。248号は一衣帯水といってよいわずかな幅だが、渡辺社長はかねて両部門の「距離」を問題にしてきたという。

元町工場への生産技術機能集約は、その距離を一気に縮めるための仕掛けでもある。世界で前例のない1000万台メーカーとしてのサスティナブルな成長を確保するには、従来以上に「生産技術力」が重要ということだ。

《池原照雄》

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