新型マツダ『デミオ』のパワートレインの目玉は、ひざびさに復活したミラーサイクルエンジンだ。ミラーサイクルは、吸気バルブの閉じるタイミングを遅くすることで、圧縮比が高まるのを抑えながら膨張比を拡大させ、熱効率を高め燃費を向上させるシステム。
新型デミオでは1.3リットルの1グレードだけに、ミラーサイクルエンジンにアイシン製のCVTを組み合わせたモデルを設定している。
デミオのエンジン開発を担当したパワートレイン開発推進部 前田敏正さんは「ミラーサイクルエンジンは、専用ピストンやバルブタイミングの制御などの開発が必要になりますが、大部分は従来のエンジンパーツを生かすことができるので、大幅なコストアップを抑えながら燃費の向上が図れる優れたシステムです」
「新型デミオでミラーサイクルが復活した背景は、このシステムの効果を出しやすいエンジン回転数を維持することができるCVTが搭載されたことと、車体が軽量化されたことが挙げられます」という。
ミラーサイクルエンジンが搭載された「13C-V」の10・15モード燃費は従来型の4速ATよりも1リットルあたり2km向上した23.0km/リットルをマークしている。最高出力や最大トルクといったスペックではミラーサイクルエンジンが標準の1.3リットルよりも若干劣っているが、実際の動力性能はCVTが組み合わされたミラーサイクルエンジンが、スムーズな走りを見せてくれるという。
ミラーサイクルユニットを積む1.3C-Vの価格は、標準エンジンの「13C」よりも11万円高い131万円となるが、この差ならCVTを積みオートエアコンなどが標準装備されるミラーサイクル車のほうがバリューは高いだろう。