【神尾寿のアンプラグド】北海道から九州まで。整備が進むJR各社のIC乗車券システム

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Kitacaのロゴデザイン
  • Kitacaのロゴデザイン
  • Kitacaのキャラクターはエゾモモンガ
  • Suica
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北の大地にKitakaが来た

6月13日、JR北海道が2008年秋から北海道札幌エリアで、ソニーの非接触IC「FeliCa」(フェリカ)を用いたIC乗車券システムを開始すると発表した。名称は「Kitaca」(キタカ)。「北(キタ)海道のICカード」という意味で、キャラクターは北海道全域だけに生息するリス科モモンガ属の小動物「エゾモモンガ」になる模様だ。札幌圏の55駅が対応する。

JRグループのIC乗車券システムは、JR東日本の「Suica」(スイカ)を筆頭にサービス拡大が続いている。すでにJR西日本の「ICOCA」(イコカ)、JR東海の「TOICA」(トイカ)がサービス開始しているほか、JR九州も2009年春をめどに福岡・北九州エリアで同様のIC乗車券システムを導入すると発表。JR北海道のKitacaは、当初2009年の導入予定だったものが、スケジュールが前倒しになり2008年秋のスタートになったという。

◆IC乗車券システムの相互利用をJR各社で検討中

IC乗車券システムを導入するJR各社では相互利用についても前向きであり、2008年春には現在の「Suica・ICOCA」の相互利用に加えて、TOICAも相互利用が始まる予定だ。これにより2008年前半には、東名阪の三大経済圏で、同じカードがどこでも使えるようになる。JR九州やJR北海道との相互利用開始についての表明はまだないが、「同じFeliCa上のIC乗車券システムであり、近い将来、相互利用が始まるのは間違いない」(JR東日本幹部)という。

なお、JRのIC乗車券システムは、各地域では私鉄との相互利用が進んでおり、関東では「Suica・PASMO」の相互利用、関西ではスルッとKANSAIの「PiTaPa」がICOCAエリアでも使える。各地域では私鉄・バスと、地域外では他のJRと連携する動きは、今後も進みそうだ。

◆電子マネーでは「都市と地方」の温度差が

一方、JR東日本の「Suica」では、決済で利用する電子マネーサービスの拡大も注目されている。駅ナカ・駅周辺を中心に広がるSuica電子マネーは普及数と利用率のどちらも高く、最近ではSuica/iDの共用端末展開で街中にも広がっている。Suica電子マネーはPASMO電子マネーとの相互利用も実現しているので、首都圏在住ならば使い勝手のよい電子マネーのひとつだ。

一方、JR西日本の「ICOCA」も電子マネーサービスを提供している。こちらもSuicaと同じく、プリペイド型電子マネーであり、駅ナカを中心に加盟店を展開中だ。JR東日本とJR西日本は、2008年3月をめどに電子マネー部分の相互利用も開始する予定である。

しかし、JR東日本とJR西日本を除けば、電子マネーの動きは鈍い。JRグループ各社は、IC乗車券システムを導入・整備する方針は進めているが、電子マネービジネスに対する姿勢は慎重だ。これには東京・大阪と違って、地方では「駅」や「駅周辺」の商業的価値が低いという事情が影響している。電子マネーの実現と加盟店展開には多額な投資が必要になるが、それに見合うだけの経済効果を“駅が生み出せるか”が導入の鍵になるからだ。そう考えると、典型的なクルマ社会である地方では、鉄道系電子マネーの成功モデルが描きにくい。

とはいえ、地方でも鉄道のIC乗車券システム導入が進めば、FeliCa決済・サービス全般の利用促進効果が期待できる。ロードサイド向けのFeliCa決済やクーポンなどが広まる"きっかけ"には期待できそうだ。

《神尾寿》

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