フィアットは23日、グループの統括デザイン・ディレクターにロレンツォ・ラマチョッティを内定したと発表した。正式な就任は6月1日。ラマチョッティは1948年モデナ生まれで、今年59歳。
トリノ工科大学機械工学科を卒業後1973年ピニンファリーナに入社。モデル&プロトタイプ責任者などを経て、2002年に同社のR&D部門『ピニンファリーナ・リチェルカ・エ・スヴィルッポ』社長に就任した。
在任中彼が関与した製品には、マセラティ『クアトロポルテ』、フェラーリでは『550マラネッロ』、『360モデナ』、『エンツォ』、『F430』、『612スカリエッティ』などがある。社長退任後は「ヴィラ・デステ」をはじめとする自動車エレガンス・コンクールの審査委員長や審査員などを務めていた。
従来フィアット・グループでは、傘下の各ブランドごとにデザイン責任者が置かれていたが、全体を統括するポストは不在だった。ラマチョッティは、フィアット、ランチア、アルファ・ロメオに加え、別会社のマセラーティのデザインも統括することになる。フェラーリは含まれていないが、彼の経歴からして、そちらとも連携作業が密になることが予想される。
なお、フィアットにおけるラマチョッティの新ポストはセルジオ・マルキオンネ社長の直轄。経営陣がデザインの重要性を再認識している表われとみることができる。ようやくフィアットにも、ルノー・デザインのパトリック・ルケマン、日産デザインの中村史郎のような「企業デザインの顔」が誕生することになる。