ホンダの新クロスオーバーSUV『クロスロード』(2月22日発表)の開発にあたり、開発チームがとくに強いこだわりを見せたのはデザインだ。
全長4.2m台と、クロスオーバーSUVとしてはかなりコンパクトなボディサイズでありながら、ハマー『H2』などの軍用車両を思わせるような緊張感のあるエクステリアデザインを持つ。そのデザイン決定までには紆余曲折があったという。
クロスロードのホイールベースは2700mmだが、開発当初は基本コンポーネンツを共用する『ストリーム』と同じ、ホイールベース2740mmを前提にデザインがなされた。が、出来上がったデザイン検討用モデルは、何とも間延びしたものであったという。
エクステリアデザインを担当したデザインAスタジオの所洋介研究員は、「最初はミニバンの派生車種を作るという程度の認識でした。しかし、やり始めてみたら、ミニバンをSUV風に仕立てるという感覚では話にならないことがわかってきた」と明かす。
「最初のモデルはいかにも胴長で、検討の場では30秒もしないうちにボツ決定。スタイリッシュなSUVのスタイリングを追求するため、全長とホイールベースを思い切って詰めることにしたんです」と、最終デザイン決定までの経緯を振り返る。
ホンダは、ボディのディメンションの違いがコストに跳ね返りにくい生産システムを構築しているが、それでもホイールベースのバリエーションが増えることはコストアップ要因になる。また、室内寸法も減少し、とくに3列目シートの居住性は最初の案に比べて不利だ。
そうしたネガティブファクターの発生を承知で独自のディメンションを採用した背景には、新しいSUVのバリューの創造をめざすという提案型モデルならではのデザインへのこだわりがあったのだ。
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