1 | 日本が消えた! |
先日、10年前に通っていたシエナの外国人大学をフラッと訪れてみた。各国語版に分類された入学案内の棚を見ると、「日本語版」が消されていて、「中国語版」になっていた。ボクが学生の頃は、日本の商社からもワンサと研修生が来ていたものだが、今はそれほどでもないらい。ああ、ここいう時代なんだな、と思った。
いっぽうでスーパーマーケットでは、日本ムードを出したグッズが増えている。まずは、こちらで長いこと売られているものから。
ヨーロッパ各国で販売されている『MIKADO』は、実は『ポッキー』である。フランスの著名ビスケットメーカーLU社がライセンス生産しているものだ。また、MIKADO同様イタリアで広く普及している『Nippon』は、ライスチョコである。米=日本というベタな発想と、日の丸を模した包装デザインが泣かせる。
楊枝や串などにも大抵、和ムードな名前がついていることが多い。これも、木&鋭利な先端=木造り&カタナ=日本という、驚異の三段論法に裏付けられた商品である。
筆者紹介:大矢アキオ Akio Lorenzo OYA --- コラムニスト。国立音楽大学卒。二玄社『SUPER CG』記者を経て、96年からシエナ在住。イタリアに対するユニークな視点と親しみやすい筆致に、老若男女犬猫問わずファンがいる。NHK『ラジオ深夜便』のレポーターをはじめ、ラジオ・テレビでも活躍中。主な著書に『カンティーナを巡る冒険旅行』『幸せのイタリア料理!』、訳書に『ザ・スピリット・オブ・ランボルギーニ』(いずれも光人社)がある。まもなく二玄社より『Hotするイタリア』が上梓される。 |