NAエンジン搭載で注目を浴びる、2007年型のSUPER GT(スーパーGT)/GT500仕様『フェアレディZ』。「2007日産モータースポーツ体制発表会」(9日)で同車をお披露目したニッサン系チーム総監督の柿元邦彦・ニスモ常務取締役は、こんなふうに語っている。
「(ルックス的に)前も変わりましたが、後ろはもっと変わっていますよ。以前、私はZのお尻を官能的だ、なんて言ったこともありましたが、今年のマシンは、そうではなくなりました」。さらなる空力の突き詰めにより、後部のみならず、なにやら各部が尖ったような印象を受けることは確かだ。
王座奪還を狙う07年型Zの開発主眼として、「レースに強いクルマ」を意識したと柿元氏。具体的には「従来からの強みであるコーナリング性能を保ちつつ、直線でも速くなるように。“直線番長”を実現したい。そして実際にテストでも、トヨタやホンダよりZの方が直線で速かった。これは歴史的にも珍しいことです」と語り、手応えを強調した。
この発言、スーパーGTのマニア以外の方には「??」な部分が多いことだろう。解説すると、まず「直線番長」というレース業界用語は、文字通り、直線で速いマシンを指す。
だが、「直線だけ速い」を意味することが多く、決して褒め言葉ではなかったりもする。その言葉を使ってまで、『直線を速くしたい、テストで実際に直線が速かった』ことを、柿元総監督は伝えたかったのだ。
なぜかというと、昨年までのターボエンジンのZは、NAのトヨタ&ホンダを相手にした際の直線でのスピード不足という課題を抱えていた。それを克服するためのNA搭載でもあるだけに、直線での速さに固執したくもなるのである。
「ターボが直線で不利?」と思われる向きもあるだろうが、スーパーGT(04年まではJGTC)の複雑なレギュレーションの絡みのなかで、そういう状況が生まれていたのだ。コーナーで速いZが、直線でも速さを得たなら……王座奪還は近いか?
エースドライバーの本山哲も、「セパンのテストで大きな手応えを感じた。04年以来のドライバーズチャンピオン獲得と、ニスモのチームチャンピオン獲得を目指し、全力で戦う」と、復権に燃えている。
なお、NA仕様のZは開幕戦−第2戦ではニスモの2台のみ。ハセミ、インパル、KONDOの3チームはターボカーで序盤2戦を走り、第3戦の富士(直線勝負!)からNA仕様車を投入する予定となっている。