マツダらしくスポーツミニバンを標榜してでき上がった。先代の『MPV』がどちらかといえば北米主導の商品企画で、初期モデルの完成度が低かったためにそれほど人気が出なかった。
が、新型は『アテンザ』ベースでキビキビ走ることを第一にして、最近のマツダ車にある一本筋の通った性格が貫かれている。
直噴ターボモデルは、ミニバンボディの割りにパワフルな印象で、MPVをまるでスポーツセダンのように軽快に走らせる。自然吸気モデルでもじゅうぶんだが、ターボパワーは運転に余裕を持たせてくれる。
エンジン特性はけっしてドッカンパワーではなく、低回転からジワッとトルクが出てくるタイプ。豊かなトルクに任せた粘り強い走りでも、瞬発力のある元気のよい加速でもしっかり味わえるキャラクターだ。
ハンドリングはロールを抑えたもので、エンジンパフォーマンスとともにMPVをひと味違ったミニバンの位置づけに落とし込んでいる。ミニバンにスポーティさが必要かという議論は別として、確かにMPVは運転を通じて硬質なフィーリングが味わえる個性派グルマという位置づけは間違いないところだ。
■5つ星評価
パッケージング:★★★☆☆
インテリア/居住性:★★★☆☆
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★☆
オススメ度:★★★☆☆
日下部保雄|モータージャーナリスト
1949年東京生まれ。車に囲まれた生活環境だったせいか、ついに仕事になってしまった。走らせるのが好きでモータースポーツからジャーナリズムの世界に入り、日本や世界のレース、ラリーに参加してきた。これからも出場するつもりだ。