神奈川の「SKY」に次いで12月から愛知県でも
ITSによる「インフラ協調安全運転支援システム」の公道での実証実験が、12月から豊田市を中心とした愛知県でも行われる。自動車メーカーなどが会員となっている新交通管理システム協会(UTMS)や豊田市が実施するもので、トヨタ自動車が協力する。
ITSの公道実験は、今月から神奈川県で日産自動車がUTMSの協力などによる「SKYプロジェクト」を始めている。政府が2008年の開始を計画している全国レベルでの大規模実証実験に向けた取り組みがようやく本格化する。
トヨタのお膝元である豊田市は、1999年からITSを活用した街づくりに着手しており「START21」というプロジェクトを推進している。これまではバス運行情報やトヨタの協力による小型電気自動車の共同利用などに取り組んできた。
◆豊田市中心に多岐にわたる情報を提供
UTMSと実施する今回の公道実験は、道路に設置された光ビーコンや車両感知器を使い、安全運転支援のためのさまざまな情報を提供する。計画では信号情報をはじめ、交差点などでの死角画像情報、接近車両検知情報、横断歩行者および横断自転車検知情報など9項目の支援情報サービスを行う。
豊田市の事故多発交差点を中心に、延べ10カ所程度が実験地点となる。このほか愛知県内の高速道路では、前方障害物や路面情報の提供サービスも行う予定。ただし日産が神奈川県で行っている「プローブカー」による高精度な渋滞情報の実験は含まれていない。
◆一般ドライバーへの認知を突破口に
政府はITSの活用による「インフラ協調安全運転支援システム」で交通事故死傷者の大幅な削減を図るため、08年の大規模実証実験を経て10年には全国での実用化を目指している。ただ、自動車業界には官庁間の協調が不十分で「なかなか前に進めない」という不満も充満している。
自動車メーカーではホンダも、研究所が立地する栃木県内での実証実験に参画する計画。大手3社のお膝元での公道実験が出揃うことで、一般ドライバーへの認知は高まるだろう。自動車業界側としては、そこを突破口にしてITSの実用化を前進させなければならない。