3 | 「あんたも好きネエ」はガイジン用 |
「お笑いパスタ」というジャンルも存在する。その代表的なものが、男女の局部を模したものだ。たいてい「セクシーパスタ」といった名称で売られている。
フォーミュラカーをモチーフにしたものもある。ある土産物店では、スターティンググリッド状に見本を貼り付け、わざわざ先頭に「シューミー」「マッサ」と但し書きがしてあった。店員はファンに違いない。
ただしいずれにしても、こういうお笑い系パスタは、一般のイタリア人は食べない。東京の外国人観光客向け土産物店で売っている不思議なキモノを、日本人が着ないのと同じと考えればよい。
したがってイタリアでも、お笑いパスタは土産物店の専売品である。セクシーパスタの袋を手にとってニヤニヤ笑っているのは、大抵ドイツ人のおじさん・おばさんたちだ。そうした光景を見るたびボクなどは、「あんたも好きネエ」という、往年のドリフターズにおける加藤茶の名セリフをかけたくなる。
4 | 真打登場 |
いっぽう、イタ車ファン待望の、お笑いパスタの真打が今年誕生した。名づけて『500(チンクエチェント)パスタ』である。考案したのは、ボクが行きつけのトリノの軽食堂『オステリアF.I.A.T』の店主兄弟である。
自動車関連グッズ全体にいえることだが、本当にクルマ好きが作っているかどうかで出来ばえが変わる。いくら有名イラストレーターが描いても、本人がクルマに関心がないと見るに耐えないものになることがよくあるのだ。
その点この500パスタは、デフォルメがうまい。特徴あるサイドラインが明快かつ単純に再現されている。同時に、全長40mm×全高19mm(茹で上がり時。メーカー発表値)という小ささの中に、三角窓やテールランプ、バンパーといった細部を造りこんでいる。