日本のディーゼル車排出ガス規制、NOx・PM法の両方をクリアする初の量販モデルとしてデビューしたメルセデスベンツ『E320CDI』だが、進化はここで終わりではなく、今後もさらにレベルアップが図られる予定であるという。
現時点で対応している排ガス規制は平成14年排出ガス規制、いわるゆ新短期規制だ。すでに平成17年規制(新長期規制)が実施されているが、輸入車については2年間の猶予期間があるため、現在も新短期規制に対応していれば、ディーゼル乗用車を発売できる。「E320CDI」はその間隙をぬって発売された格好だ。
これについて、E320CDIの日本市場投入計画を進めたダイムラークライスラー日本の新道学氏は、「今は確かに新短期規制で、(猶予期間の終わる)来年には新長期規制に対応しなければならないのですが、対応のメドはすでに立っています。1年経ったらディーゼル車は販売中止などということには絶対しない」と、排ガス規制には段階的には対処可能だと語る。
ディーゼル車の排ガス規制物質はCO(一酸化炭素)、NMHC(非メタン炭化水素)、NOx(窒素酸化物)、PM(粒子状物質)の4種類。うち、E320CDIが新長期規制をクリアするネックとなっているのはNOxだ。
「新長期規制に対応するために、来年にはNOx触媒を装着することになると思います。この触媒はディーゼル車の低い排ガス温度環境でも機能するもので、今秋には北米で販売されるディーゼル乗用車に装着します。ほどなく日本モデルにも採用されるでしょう」(新道氏)
今回発表されたE320CDIは、長期的に見れば排ガス面では“暫定仕様”なのだ。今後は新長期規制対応のためにNOx触媒、さらに平成21年に実施予定の通称「ポスト新長期規制」と言われるきわめて厳しい規制には、尿素SCR(選択還元触媒)という装置で対応していくことになると思われる。今後のEクラスディーゼルの進化に注目だ。