マツダ『ロードスター』に追加された「パワーリトラクタブルハードトップ」(RHT)は、わずか12秒で開閉が可能だ。この時間はメルセデスベンツ『SL』の16秒をしのぐ世界最速の時間となる。
ロードスターの開発主査を務めた貴島孝雄さんは「このルーフのシステムはダイハツ『コペン』などのシステムも製造している、広島のベバストジャパンと開発いたしました。パワーリトラクタブルハードトップを開発するうえで、開閉時間の短縮はひとつのテーマではありましたが、12秒という時間は結果的なものです」
「パワーリトラクタブルハードトップはシートのすぐ後ろにルーフを収納するので、ルーフの移動距離も短く、大きなトランクリッドを持ち上げる必要もないので、短い時間で開閉作業を終了することができるのです」
「また、ルーフが樹脂製で軽いので、アルミ製のルーフ車よりも作動音を小さくすることもできました。固定用のフックも自動のほうがラクという意見もありましたが、操作は停車中に行なっていただきたいという思いもあり、ソフトトップと同じ手動式のフックを残しています」という。
実際にパワーリトラクタブルハードトップの開閉は、ルーフ先端の固定フック1カ所を手動で操作する必要はあるが、動作自体は非常に素早く、信号待ちなどのわずかな時間での開閉が可能。ルーフとリヤガラスがコンパクトに3分割されて、シート後方の狭い隙間に折りたたまれて行く光景は見ていても面白い。
この開閉速度の素早さも、パワーリトラクタブルハードトップの魅力のひとつだ。