マツダ『アクセラ』は、ハッチバックの販売不振が続く日本では目立った存在ではないが、欧州では数多くの賞を受賞し、VW『ゴルフ』やオペル『アストラ』と肩を並べる高い評価を得ているモデルだ。そのアクセラがマイナーチェンジを行ない、さらに走りに磨きを掛けている。
もっとも大きなところでは、2.0リッターと2.3リッター車のATを4速から5速に進化させたことだ。
アクセラの開発責任者を務めた前田龍雄さんは「マイナーチェンジを行なったアクセラは、『アテンザ』同様に、ATを4速から5速に進化させました。新たに採用された5速ATは、ギヤ比を最適化し、発進加速や追い越し加速を従来の4速ATよりも大幅に改善しました」
「また、“20S”と“23S”に関してはステアリングを握ったままでもマニュアルモード時の変速が可能なステアリングシフトスイッチを新たに採用しています」という。
実際に5速ATを搭載したアクセラスポーツの「23S」に乗ってみると、前田さんのいうように加速性能が向上していることがわかる。また、多段化したことにより変速時のスムーズさも増している。
ただし、ステアリングシフトスイッチは、Dレンジでは作動せず、シフトレバーでマニュアルモードを選んだときにしか使うことができない。最近はDレンジでも、パドルやステアリングスイッチでシフトダウンが行なえ、数秒後にはDレンジに自動復帰するのがトレンドとなっているので、その点では少し遅れている。
2.3リッターエンジンはスペック自体には変更はないが、5速AT化や電子スロットルの制御の変更といった部分によって、洗練されたパワーフィーリングを実現させている。エンジンそのものに手を加えないアプローチで、パワートレインの熟成が図られている格好だ。(つづく)