フォードの黒字化に赤信号

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フォードの黒字化に赤信号
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フォードがリフォームプラン「ウェイ・フォワード」の中で掲げた「2008年には北米で黒字をあげる」という目標が、SUVの販売不振のため達成困難との見通しが出ている。

フォードのリフォームプランはCEOのビル・フォード・ジュニアによって1月に発表され、3万人のリストラと国内向上の閉鎖などの大鉈を振るい、2008年に企業を黒字に転換させるというものだった。

しかし原油高という思わぬ強敵のため、今年に入ってフォードのミッドサイズSUVは前年比で27%減、ラージSUVに至っては30%減の販売台数となっている。結果、今年第一四半期の赤字額は11億9000万ドルとなった。

自動車アナリストによると、フォードの課税前の収益は、2004年の時点でミッドサイズSUV1台あたり8000ドル、ラージサイズSUVでは1万1000ドルで、まさに同社にとってのドル箱だった。しかしインセンティブ合戦によってこの収益額は減り、さらに販売減によりこのドル箱からの収益は大幅に削減となっているという見方が強い。

スタンダード&プアーズではフォード株式のさらなる格下げも検討しており、現在の株主から経営陣に批判が集まる事は避けられない。すでにGMの株式は「Caa1」にまで下げられている。

しかもフォードにとって最も頭が痛い問題は、同社のベストセラーであるピックアップトラック『Fシリーズ』を、GMやトヨタが追い上げていることだ。Fシリーズはフォードの売り上げ全体の4分の1を占めており、この牙城が崩されるとフォードは本当の危機に陥る可能性がある。フォード車がアメリカで占めるシェアも95年の25.7%を境に年々低下し続け、今年5月までの実績では18.5%にまで落ち込んでいる。

「ウェイ・フォワード」の大鉈も効果がないフォードの状況はかなり深刻と言える。

《Sachiko Hijikata, US editor》

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