ホンダが新たに開発した海岸清掃器『ビーチクリーナー』(5月10日発表)は、熊手の役割を果たす「サンドレーキ」と、ふるいの機能を持つ「サンドスクリーン」のふたつで構成される。両者とも牽引式で、牽引にはホンダの4輪ATV、いわゆるバギーを使用する。
このサンドレーキとサンドスクリーン、見た目は非常にシンプルなただの清掃機器という感じだが、その威力は絶大だ。日本の砂浜やアメリカ西海岸などでテストを行なったというが、清掃テストの映像を見ると、ATVを使って15−20km/hで引っ張り回すだけで、海岸のゴミが面白いように回収できるようすがうかがえた。
熊手役のサンドレーキはラダー状の本体の下に長さ100mmほどのピンを設けたもので、木片、網、ロープ、ビニール、釣り糸などを回収できる。ふるい役のサンドスクリーンのほうは、たばこの吸い殻、ペットボトルおよびキャップ、ライター、ガラス片、花火片などを回収する。またタンカーのタンク洗浄や海難事故によって発生する廃油ボールも回収できるという。
清掃にかかる時間は人手による清掃にくらべて格段に短く、1ヘクタール(100m四方)あたり30分ほどで完了するという。もっとも、サンドスクリーンは濡れた砂浜では砂が網目から落ちないため使用できず、サンドレーキも草地では突起部分が引っかかってしまうため清掃できない。「従来、海岸清掃の主役であったボランティアなどの人手による清掃や大型機械の存在意義がなくなるわけではありません。“共存共栄”で浜をキレイにしたいですね」(二輪開発センター・新井正吉氏)。