独ボッシュグループのブースに鎮座しているメルセデスベンツ『CLK320CDIカブリオレ』。欧州の排ガス規制「EURO-4」はもちろん、東京都など日本の大都市圏で実施されている厳しい排ガス規制もクリアする、クリーンディーゼル乗用車だ(東京モーターショー、10月19日−11月6日)。
メルセデス・ベンツのオープンモデルにディーゼルエンジンが搭載されるのは、このモデルが初めてだ。「爽快なオープンエアドライブを楽しめるレベルまで、排ガス中の有害物質や騒音を低減させることができた」(ボッシュ関係者)という新世代ディーゼルテクノロジーは、ボッシュの基幹技術のひとつである。
パワーユニットは3リットルV6ターボディーゼルで、最高出力224ps、最大トルク52.0kgmを発生。このエンジンを搭載したCLKカブリオレの動力性能は最高速度が244km/h、0-100km/hが7.5秒と、かなりの駿足だ。
ボッシュは今後もディーゼルの有害物質削減のための開発を進める計画だ。まずは噴射ポンプのさらなる高圧化。「今後数年で噴射ポンプの本体内にブースターを内蔵させ、2500barに引き上げる予定です」(ボッシュ関係者)。ボッシュの強みである電子制御技術も、さらに高度化が図られるという。
ボッシュはNOx低減技術として尿素SCRを推しており、大型車用パワーユニットに採用しているが、将来的には乗用車用エンジンにも拡大採用する。尿素の噴射量は燃料の1%程度で、価格も1リットルあたり100円を切るレベルにまで下がっている。「あとは、尿素供給のインフラをどう構築するかがポイントになるでしょう」(ボッシュ関係者)。
ディーゼルの排ガス規制は今後、世界中でさらに強化される見通しで、それらに対応するのは簡単なことではない。ボッシュはディーゼルのトップランナーを自認するだけに、研究開発意欲も旺盛だ。