日本自動車工業会は、車室内のVOC(揮発性有機化合物)低減について自主的な取り組みを進めることを決定した。
VOCは、常温で揮発しやすい有機化合物で、ホルムアルデヒドやトルエンなどがこれに当たる。
ここ数年、住宅の高気密化や化学物質を放散する建材・内装材の使用などで、新築や改装直後の住宅・ビルなどに入ると鼻・のどに刺激を感じる体調不良となるシックハウス症候群が注目され、厚生労働省や産業界はその一要因であるVOCの対策に取り組んでいる。
自工会では車室内を居住空間の一部と考え、自動車の使われ方や住宅とは異なる環境を考慮した最適なVOC濃度試験方法の研究や実態調査などを進めてきた。
これらの結果を踏まえ、濃度測定に必要な「車室内VOC試験方法(乗用車)」を新たに策定し、2007年度以降の新型乗用車について厚生労働省の定めた13物質の室内濃度指針値を満足させる「車室内のVOC低減に対する自主的な取り組み」を始める。
今後、自動車メーカーは化学物質の中でも、厚生労働省が室内濃度指針値を定めた化学物質の低減を優先的に進めていく。具体的には、接着剤や塗料に含まれる溶剤の水性化・無溶剤化を推進する。