「本来は20代から30代の走りを楽しむ若い人がターゲットなんですが、ワタシぐらいの年齢でも、こういうクルマを欲しがっている人も多いのではないかと思います」と『コルト』とコルト『プラス』に設定されたターボモデルについて、開発責任者の吉松広彰さん(三菱自動車商品企画本部FF系開発センタープロジェクトマネージャー)は語る。
吉松さんは三菱自動車入社当時は岡崎に席を置き、週末には自分のクルマで峠道を走ったり、メンテナンスに明け暮れていたとか。その後、80年代には社員チームを結成し、ミラージュカップにメカニックとして参加。その後もランサーエボリューションの開発に携わるなど、仕事ではつねに走りを楽しむことができる環境に置かれていた。
しかしながら、現在の愛車は『グランディス』で、その前は『デリカ』。プライベートではミニバンを購入して、家族優先のカーライフを送っていたのだ。
「やはりワタシのように、現在はミニバンを所有している人は多いと思います。ですが、子供が大きくなって一緒に出掛ける機会が減った人たちは、もう一度若いころの感覚に戻って、スポーティなクルマに乗りたいと思う人も多いのではないでしょうか。そんな方にもコルト『ラリーアート』は魅力的なクルマだと思います。じつはワタシ自身もラリーアートのような元気のいいコンパクトカーを待ち望んでいました」と語る。
コルトとコルトプラスに設定されたラリーアートは、クラス唯一の1.5リッターターボエンジンを搭載。147psを発揮するエンジンは2500rpmで最大トルクを発生するという低回転型ながら、リッターあたり約100psを発揮するパワフルなエンジン。CVTとのマッチングもよく、有効なエンジン回転数を維持しながら力強い加速を提供してくれる。感覚的にはコルトに2リッタークラスのエンジンを搭載している感じだ。
サスペンションもハードに仕上げられており、標準車よりは明らかに硬い。そのおかげで、重心の高いコルトのロールが上手に抑えてくれている。さらに電動パワーステアリングの重さも、あえて手ごたえのある重さに設定されているので、スポーティなハンドリングが楽しめる。
コルトとコルトプラスのラリーアートは、見た目は優しいコンパクトカーだが、ターボモデルらしいパワフルで軽快なフットワークに仕上がっている。これなら吉松さんがいうように、若いころはクルマが好きで、走りを楽しんでいたようなベテランドライバーにも魅力的なクルマとなるだろう。(つづく)