愛知県豊田市のフォレスタヒルズで行われたトヨタショーケースのうち、既存の先進技術として紹介されたのが、『クラウン・マジェスタ』などに装備されている「プリクラッシュセーフティ」と「低速追従モードを備えたレーダークルーズコントロール」だ。
両技術ともカタログなどではお馴染みとなったハイテク機能だが、特に前者は解説記事を書いている記者自身もこれまでに体験したことは無かった。
というより、衝突被害を軽減する技術のため、「実際にぶつけてみなくてはわらない」といった類のものなので、そう簡単には体験できないが、今回はこれを実際に体験できるというのがミソ。
もちろんクルマにぶつけていては何台用意しても足りるものではないので、柔らかな材質でつくられたダミーポ−ルに衝突させるというスタイルを取る。
とはいえ、実際に衝突させることに変わりはない。1回目は衝突警報が鳴動し、ドライバーがブレーキを踏むという実験。
この際には警報の鳴動とともに、シートベルトがグッグッグッと巻き上がって、ドライバーに衝突の危険を知らせる。この段階でブレーキを踏みこめば以降の動作がキャンセルされる。
そして2回目は40km/hまで加速した状態でダミーポールに向かって突っ込んでいく。居眠り運転を想定しているため、ドライバーはブレーキを踏まず、そのまま前方を注視するのみ。
グッグッグッとベルトが巻き上げるまでは一緒だが、ドライバーがブレーキを踏まないと感知した段階で、ガツンとした勢いでひときわ強くベルトが巻き上げられ、同時に強めのブレーキが掛けられる。
ここからポールへの衝突までは一瞬なのだが、衝突寸前には確実に減速が行われ、乗員への被害を低減する仕組みになっている。
文章で書くとたいしたことのないように思えるが、衝突寸前のベルト巻き上げは肩に痛みを感じるほど。もっとも、ブレーキなしで突っ込んでいたとしたなら、それ以上の痛みを味わうことになるのも間違いない。
低速追従モードの体験走行は、先行する電気自動車に追従するというかたちで行われている。車内にはアクセルとブレーキのペダルを撮影するカメラが設置されており、モード使用時に各ペダルを使用していないということが一目でわかるようになっている。
加速、減速ともにスムーズで、追従に違和感を感じることはない。
デモンストレーターは「渋滞時にアクセルとブレーキペダルの踏み替えの面倒が省ける」と、このシステムの利便性を説明していたが、正直そこまでドライバーの補助を行う必要があるのかと思ったのも事実。このあたり、もう少し説明に工夫をした方が良かったのではなかろうか。