一応、ちゃんと造られた欧州車ではある。でも3世代目までは「必要にしてじゅうぶんなクルマ」としての理想形、世界のお手本だった。
その資質は先代で失われ、今回はプラットホームの進化分だけはよくなったが、再生まではゆかず。空間設計からして、後席の着座位置が低め、かつ上体が後傾しすぎ。前席も空間構築が甘い。
足回りの仕上がりも悪くはないが、A3に及ばない。前後輪の横力発生のタイミングとバランスのずれによって旋回のリズム感はもう一息。凹凸踏み越えも最初だけ柔らかく、振動吸収はやや雑。FSIは常用トルクが薄く、VWの美点を失っている。
■5つ星評価
パッケージング:★★★☆☆
インテリア/居住性:★★★☆☆
パワーソース:★★★☆☆
フットワーク:★★★☆☆
オススメ度:★★☆☆☆
両角岳彦| 自動車評論家
1951年長野県松本市生まれ。モノごころついた時からクルマが好き。大学・大学院と自動車工学を修め、自動車専門誌を経て独立。現在は徳大寺自動車文化研究所・主任研究員としてディーゼル排気浄化システムの開発に注力中。