振動バランスに優れるため回転フィーリングが良く、かつては高性能エンジンの代名詞であった直列6気筒エンジンだが、いまや生産量は激減し、現在直列6気筒を量産しているメーカーはBMWとボルボ、そしてトヨタだけだ。
そのトヨタも、ついにFR系をV型に切り替えた。今回の新型『クラウン』のエンジンがV型となったことによって、国産メーカーから直列6気筒が消えることになった(現行の直列6気筒エンジンも次世代でV型に切り替わるとのことだ)。
時代の趨勢から取り残された直列6気筒。「縦に長くなるので、クラッシャブルゾーンの確保が難しい」と説明するのは、エンジンプロジェクト推進部の杉山雅則主査。
そのほかにも、ブロックやクランクシャフトが縦に長くなることによって、エンジンの剛性確保のために重量がかさむこと、搭載位置を後ろに下げられないため、ボディの前後重量配分で不利なことなどがある。
しかしこれで直列6気筒が完全に消えてしまうかというと、そうではなさそうだ。エンジニアリングに詳しいジャーナリストの熊野学氏は「これで希少価値が高まった。BMWも5年ほど前に作り直したばかりだし、しばらくは残っていくだろう」と分析する。