国土交通省は2日夜、1級自動車整備士の筆記試験問題がトヨタ系列ディーラーに事前漏洩した疑いがあると発表した。今回で2回目となる1級整備士試験は、11月30日に全国で実施され、7317人が受検した。
その直後から、運輸支局などに匿名で「トヨタのメカニックから見せてもらった問題集と出題が酷似している」との指摘が複数寄せられた。
国交省がトヨタに事情を聞いたところ、試験問題の作成やチェックに関わっていたトヨタ社員の「自動車整備士技能検定専門委員」から作成段階の問題の1部がトヨタ系列ディーラーに「練習問題」の1部として漏洩した疑いがあるという。
この社員は、国の依頼を受けて試験問題の妥当性をチェックするため社内に問題を漏らした事実は認めているが、意図的かどうかは「調査中」(国交省自動車交通局技術安全部整備課)という。筆記試験は全部で50問あるが、国交省が調べたところ、少なくとも38問が酷似していた。
同省によると、受検者のうち3000人以上がトヨタ系列のメカニックという。国交省は事実関係調査を急ぐとともに、不正が事実であった場合、このトヨタ社員を委員から解任し、さらに事前に問題を入手していた受験者の合格を無効とする処分を検討する。
ただ、事前に問題を入手していたかどうかを確認する手段はなく、事態収拾には時間がかかりそう。
国交省は今のところ「真面目に勉強して試験にのぞんだ人もいる」として、口頭や実技など残る試験を続行する考えだが、受験者の半分近くが問題の大部分を知っていた可能性があるだけに、国家試験として成立するかどうかも論議を呼びそうだ。