アメリカのピックアップと言えばやはり「マッチョ」の象徴。最近のクルマが「キャビンの静寂性」を売りにしているのに対し、今でも豪快なエンジン音がピックアップの魅力とされている。
しかしそんな傾向にもそろそろ変化の時代が来たようだ。フロリダとミシガン州の住民が、GMに対してデトロイトの連邦裁判所で集団訴訟を起こした。訴えの内容は、「GMが販売するハイエンドのトラック、GMC『ユーコンXL2500』とシボレー『シルベラード』のエンジン音がうるさすぎる」というもの。
実際に集団訴訟に加わった人の中にはこの2台のピックアップのオーナーも含まれ、「買ったのはいいが、あまりにもうるさく近所迷惑なので運転することができない」のだという。しかも、これらのクルマは売ろうと思ってもやはりエンジン音のために「買い手がつかない」状態だといい、このような「乗るにも売るにも不便なクルマ」を販売している責任を問う、というもの。
一方でピックアップはこうした爆発的なエンジン音がしなければ魅力がない、と考えるユーザーがいるのも事実だが、ユーコンやシルベラードはラグジュアリーピックアップの部類で、当然購入者もリッチ層。閑静な住宅街では、あたりに響き渡るエンジン音は時には警察への通報の対象にもなる。
しかし静かなピックアップを作っても果たして売れるのか、という問題もあり、今回の裁判の行方にGMだけではなく他のピックアップを作るメーカーの関心も高まっているようだ。