すでに実用化の一歩手前まで到達したと言われるモバイル放送。放送衛星から発信される2.6GHz帯の電波をキャッチする専用の受信端末があれば、家庭内はもちろん、移動中の車内でも番組視聴が楽しめるというもの。現時点で約70チャンネル分(このうち音声のみが約55チャンネル)の放送が行われることがほぼ決まっている。
『WPC EXPO2003』の会場には、タカラが出品した端末の試作品が展示されていた。単なるモックアップではなく、実際の視聴が可能という市販前提のモデルだ。電波を通しやすい構造だとはとても思えない幕張メッセの会場内にありながら、衛星からの放送電波をしっかりと受信できていることには驚いた。
モバイル放送・営業部の井田裕之マネージャーは「今回展示されているモデルは商品化一歩手前のものです」と説明する。外では受信アンテナを内蔵したモニターのみを持ち出し、家庭では小型テレビ型のクレードルに収めて充電する。
同じブース内にはミノルタが開発中の眼鏡型のマウントディスプレーも展示されていたが、これを併用すればモニターをポケットに入れたまま映像チャンネルの番組を楽しめる。電車通勤の際にも使えるというわけだ。
今回の展示は携帯用だが、今後は車載機への展開も予定されている。有線放送のように最新ヒットチャートをノンストップで流し続けるチャンネルも開設される予定があり、CDなどを車内に持ち込むという習慣がモバイル放送の登場によって一変するかもしれない。