●なんとかしてよ、ブレア首相
そのひとつが、英国工場の為替ヘッジの問題だ。トヨタのフランス工場や、スズキのハンガリー工場など各社の生産拠点は欧州域内に広がっているものの、現在では英国が日本車の現地生産の中心だ。英国は通貨統合に参加していないため、対ユーロの為替変動リスクがつきまとう。英国に工場をもつトヨタなど3社の首脳は、7月に来日したブレア首相に早期の通貨統合を要請したが、欧州事業の安定化には欠かせない課題だ。
もう一方の問題は、EUが先進国では最高の高関税を課しているという点。日本は1978年の時点で、早々と自動車関税を撤廃しているのに、EUは乗用車で10%、商用車には10〜22%を課し、大きな関税障壁となっている。日本自動車工業会の集計によると、02年に日本メーカーがEU向け輸出で支払った関税は1141億円にのぼっている。乗用車の関税率が2.5%の米国向け輸出での関税額1219億円と、ほぼ同額だ。
日本政府はWTO(世界貿易機関)の新ラウンドで、自動車や電機などの関税の「相互撤廃・調和」(ゼロゼロ・ハーモナイゼーション)を提案している。自工会も、交渉を促進するよう政府に要望しているところだ。ただ、自動車産業は各国の戦略産業であるだけに、EUや米国を交渉のテーブルに着かせるのは容易ではない。また、日本車の欧州シェアが拡大すると、EU側が態度を硬化させることも予想され、日本側はジレンマを抱える。
1/4●市場弱含みの中、日本車シェア上昇……の、なぜ
2/4●ニューモデル販売好調の影に横たわる課題
4/4●では、自分でなんとかします。できます

