大宰府市(福岡県)は25日、文化遺産の整備や、観光地周辺の渋滞緩和を目的とした道路改良などへの財源に充てるための「歴史と文化の環境税」を施行する方針を決めた。有料駐車場の利用料金に上乗せするもので、今後60日以内に施行される。
これは同市が考案し、昨年7月に総務省からの施行認可も得ている環境対策税の一種。太宰府天満宮周辺の時間貸有料駐車場を利用する観光客などのクルマに対し、1回の利用当たり普通車で100円、29人乗り以上の大型バスで500円の税金を駐車場の利用料金に上乗せする形で徴収するというもの。「クルマを駐車する」という行為に対して課税が行われるのは全国初のケースで、素案検討中には「有料駐車場税」という通称で呼ばれてきたが、現在では「歴史と文化の環境税」という正式名称が付けられている。
対象となるエリアが太宰府市全体ではなく、太宰府天満宮周辺に限られるため、周辺の有料駐車場経営者からは「実施が一部に限定され、不公平だ」という声が上がり、反対の意思を表明してきた。ところが最大事業者でもある太宰府天満宮が導入に同意すると、他の事業者も肩を並べるように次々と同意。現在では過半数近くが導入に前向きな意向を示すまでになったという。
導入時期は今も未定だが、4月23日から5月23日までの間に導入されることが25日に決まった。現在の論点は繁忙期となるゴールデンウィーク前に実施するか、その後に実施するかということに移っているという。太宰府天満宮周辺の有料駐車場は、普通車で400円/時間。これが税導入後は500円/時間となる。1時間駐車した場合の税率は料金の25%に達してしまうが、税と料金が一緒に徴収されるため、利用者からしてみれば高額な税金を払っているという実感が生じにくいのも事実だ。