5日、東京都江戸川区のデザイン専門学校TCA(東京コミュニケーションアート)において、日産自動車の中村史郎デザイン本部長兼常務取締役が特別講義を行なった。中村本部長はプレゼンテーションは簡潔であることが肝要だと言い、ブランドやデザイン開発の本質に話は及んだ。
中村:日産のブランド・アイデンティティとは何か、とよく聞かれるんですが、これは日産の良さは何か、ということです。自分の欠点はすぐに分かるものですが、自分の良さは自分ではなかなか見つけられません。
デザインを開発すると言いますが、ディベロップメントとは育てることです。これがないとこのデザインはわけが分からなくなってしまうというポイントを見つけなければなりません。そうするとデザインのねらいが簡潔なラインドローイングで表現できないようでは困るんです。
色を塗り込んだり、リフレクションを描き込んだりしても、言いたいことがきちっと表現されているのか。アイデアはスケッチの技量ではないし、メッセージの強さは絵を描く時間には無関係です。
無駄を省くのは難しいですね。何が無駄かが分からなければなりませんから。つまり本質が分かってなければならないのですね。