【三菱『コルト』誕生】空の青さを巡る女性デザイナーとブーレイ本部長の攻防

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【三菱『コルト』誕生】空の青さを巡る女性デザイナーとブーレイ本部長の攻防
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軽自動車『eKワゴン』で好評だったこともあり、今回発売される『コルト』でも全10色(2003年3月までは9色)がラインナップされている。テーマカラーはクールシルバーだが、カラーリングを手掛けたデザイナーにはもっと思い入れの深い色があるようだ。

「実は車体の色を巡ってブーレイ本部長と激しいバトルをしました」と語るのはコルトのカラーリングを担当した向井則子さん。

「コルトには空の青さを表現したブルーを使いたいと思っていました。私がイメージしたのは“日本の秋の空”です。あの青さが一番きれいだと考えたからです」。直属の上司であるデザイン・プロジェクトマネージャーの大塚弘明さんの了解も取り付け、カラーリング案として提出したところ、「待った」がかかる。

「プーレイ本部長が直々に“空の青が良いのはわかる。でもノリコ、あの色ではダメだ”と言い出したんです。彼がイメージしていた空の色は、私の提案した色よりもキラキラと輝くヨーロッパの空の色だった。実際に鋼板に塗装したサンプルを持ち込んできたのですが、正直それがコルトに合うとは思えなかった」

「日本の秋の空がいい」と主張する向井さん、「キミは本当の空の色を知らない」と主張するブーレイ本部長。その隔たりはなかなか埋まらなかった。結局、実車に両方の色を半々に塗装し、社内クリニックで評価することになったのだが…。

結果は向井さんの圧勝だった。実車に塗装すると、その見栄えは全く違ったものになったという。そして敗者となったブーレイ本部長は予想外の行動に出る。

「実車を載せたターンテーブルに乗り、自分の推した色の側に立って“バイバイ、僕の空”と手を振るというパフォーマンスを見せてくれたのです。立ち会っていた社員みんなで大笑い。クリニックの緊張はあれで一気に解けました」

こうして決まった日本の秋の空。市販モデルには「ライトブルー」の名でラインナップされている。

《石田真一》

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