今回発表されたWiLL『サイファ』には、トヨタが送り出す新しい情報端末『G-BOOK』対応機が標準で装着されているのは既報のとおりだが、これまでの試用機では判明しなかった実力もいろいろとわかってきた。
地図は本体内(ローカル)に挿入した256MB容量のSDカードに記録されており、50m−200kmスケールの全国地図があらかじめ収められている。256MBのうち、地図で使用しているエリアは180MB程度で、残りが他の用途に使われることとなる。ごくごく普通に使用する分にはまったく問題はないのだが、これまでのナビ専用機と比較した場合、気になる点がいくつかあった。
まず第一にスクロール速度。G-BOOK端末はタッチセンサーパネルで地図を含めたコンテンツのコントロールを行うが、これの応答速度が現状では遅いということ。第5開発センターの第1電子技術部の久門仁さんによると「ソフトウェアの改良で今後改善していく」とのことだが、タッチした際に即座にアンサーバックがなされるわけではなく、反応しているのか、それとも反応していないのかわからないところに不安を覚えた。
もうひとつ気になったことがある。それは長距離のルート設定を行う場合、経路上の途中に経由点を必ず設定する必要があるということだ。G-BOOKでは地点設定のアルゴリズムがこれまでのナビとは異なり、数キロ四方で切った地図データをタイル上に並べていく方法を取っているため、長距離になればなるほどタイルの数が増えてしまい、結果としてデータが重くなってしまう。
このため、システムの動作を確保することを目的に、現状では300km以上の経路設定ができないよう設定している。300kmを超える距離、例えば東京−大阪間のルート設定をする場合には、途中2カ所程度を中継点として設定しなくてはならない。
これについて久門さんは「G-BOOKのカードナビは周辺探索に主眼を置いており、それについては妥協することなく、これまでのトヨタ車に装着された専用機と同様に使用ができます。現状では長距離探索が弱いのも事実ですが、300kmを超える移動は高速道路中心になるはずなので、中間のサービスエリアなどで最終的な目的地を設定してもらえれば不便ではないと思います」と語る。
いずれにせよ、今後のバージョンアップで改善できるものではあり、そういった意味でもWiLLサイファは「育てるクルマ」であるということらしい。