新型『フェアレディZ』に関しては1999年ロサンゼルス・オートショー、2001年デトロイト・オートショー、2001年東京モーターショーと、3台のコンセプトカーが出されている。それらを順に追いながらZのデザイン開発の様子をさぐる。
日産自動車デザイン本部の青木護プロダクトチーフデザイナーによると、「99年の『Zコンセプト』はサイズが初代Zと全く同じで、アメリカにおけるマーケットの喚起という側面が強く、あくまでデザインスタディの域を越えていなかった。デザイン的にもレトロすぎるという批判もあり、量産化を前提で作っていたものではないので、4気筒のエンジンしか積めないものであった」という。
「その後ゴーン体制になり、日産復活の象徴としての役割も受け持つZの量産開発が始まった。デザイン開発は日・米・欧の3拠点で、そのうちエクステリアはNDA(日産デザイン・アメリカ)のデザイナー、アジェイ・パンチェルのアイデアが採用された。それが2001年のデトロイトショーに出品されたZに続く」
「デトロイトショーから東京モーターショーのモデルへの変更点は、全幅を40mm小さくし、リヤエンドのラインがスッと落ちていたものを少し上げて初代Zに近づけ、ヘッドライト輪郭のコーナーを丸めた。ほかにグリルの開口部、ホイールサイズ、ドアノブ、面質など数え切れないほど変更点は多い。デトロイトの方は狙いをピュアに表現していたが、特にフロント周りなどはジオメトリックな傾向が強く多少違和感があった」という。
新型Zの特徴のひとつである縦型のドアノブについては、「デトロイトショーのZでは少しエッジが立っていたために危険があり、さらに風切り音の問題から東京モーターショーで改良されている」と、青木プロダクトチーフデザイナーは語る。