コードネーム「FX」、おそらく『F60』と呼ばれるであろうスーパーカーのデザインを手がけたのは日本人の“ケン”奥山こと奥山清行以下のチーム。奥山氏はピニンファリーナのデザイン工房で、あの『ロッサ』コンセプトカーを手がけたことでも知られている。
現在の奥山氏はアメリカ西海岸のデザイン大学ACCD(アートセンター・カレッジ・オブ・デザイン)のトランスポーテーション学部長を務め、同時に日本のデザイン開発会社DCI(デザイン・クラブ・インターナショナル)のディレクターも兼任している。
グラマーな『F50』とは全く異なったFXのボディ・ラインは、レーシングカーの伝統に基づき、ルックスではなくそのファンクションにポイントを置いて開発された結果なのだ。何度も繰り返された風洞テストから生まれたのが、シャープなラインを持つこのスタイルなのである。
たとえば異様なほどに長いフロント・オーバーハングは、まさに近年のF1マシンのスタイルではないか。先端に行くほど細くなっており、大きめのエアダクトは、F1のフロントウィングを連想させるデザインだ。細く縦長で、透明レンズの入ったヘッドランプも特徴的だ。かなり奥まったところに位置している。