スタイルのチェンジはそう大胆ではないが、今回マイナーチェンジされた『911』は、高速走行時における安定性には目を見張る。前軸の空力リフトは25%、後軸では40%もダウン。それでも空気抵抗係数の値は0.30と、スポーツカーとしてはかなり優秀な数値である。
エクステリアもさることながら、ポルシェが「996」モデルチェンジでいちばん力を注いだ場所は、コンパクトなエンジンコンパートメントだろう。ストロークを4.8mm伸ばしてエンジン排気量が209ccアップ、2596ccに。
忘れてならないのは、今回911で初めて採用された「バリオカム・プラス」システムである。従来のエンジンに初めて2段階可変インレット・バルブタイミング・システムを採用、これによりどんなスピード時においてもスムーズで確実なエンジン・レスポンス得られるというわけだ。これに加えて、排気管のル—トを変え、触媒コンバーターのチューニングを徹底的に行ったことで、背圧がかなり軽減されている。
6800rpmで235kW(320PS)、4250rpmで370Nm(37.7kgm)という数値は、現行よりそれぞれ16kW、20Nmもアップ。そして何といっても、トルクがピークに達するのが350rpmも早いため、2000rpm以下におけるエンジンの“しなやかさ”が全く違う。中回転域においても現行との違いははっきりしている。また回転計がトップエンドの7200rpmに近づいても、静かで滑らかな走りは変わらないのだ。