光岡『ラ・セード』は、日産の現行型『シルビア(S15)』をベースに製造されている。キャビン以外は全ての造形を作り変えているが、言い換えればキャビンはシルビアのままだ。
シルビアユーザーの方、あるいは試乗された方にはわかっていることかもしれないが、シルビアのキャビンは非常に狭く、シートをある程度は寝かさないと運転姿勢が取れない。ちょっと身長の高い方(と、いうより座高の高い方)は、そうしないとアタマが天井に干渉してしまう。だが、それでもシルビアは寝かせ気味のドラポジを取っても、ショートノーズなので車幅感覚が把握しやすいようにはできている。しかし、このラ・セードは…。
正直言って「うわ、マジかよ!?」という感じだ。超ロングノーズのため、運転席からの見切りはライトの上部までしかない。そこからバンパーまではさらに30センチ近くあるのだが、これが全く見えないのだ。各自動車メデイアから、新聞、テレビまで、記者が運転席に座るたびに驚いたような声を上げる。運転していれば慣れるてくる次元だとは思うが、全長5230ミリ、全幅1880ミリ、最小回転半径6.3メートルという「化け物」を振り回すには相当のテクを要しそうだ。
ただ、都内の混んだ道であっても、ラ・セードに乗っていればみんなが道を空けてくれる可能性が高い。それだけの存在感があるクルマだし、光岡社長が言うような「他にはない」という特長はなんとなくわかる気がした。