近頃、環境問題やクルマ離れなど、クルマの未来にとっては閉塞感のある話題が多い。それだけに、新しい価値観をもった、将来性のあるトヨタ『iQ』が評価されたのではないかと思う。私自身も期待を込めてiQに10点を投じた。
日本を代表する今年のエポックカーは、トヨタが送り出した新感覚のスモールカー、『iQ』と、日産が技術の粋を集めて開発した『GT-R』の2台だろう。他のクルマはこの2車と比べると影が薄い。案の定、COTYはiQとGT-Rとの一騎打ちとなった。
実は、今回のCOTYの投票については、その前からずいぶん悩ましいものでした。と言うのは、本命とされていたトヨタ『iQ』にあまり大きな点数を入れられない状況を自分で造り出していたからなんです。
僕に言わせると、今年、日本市場に出た41車種の中でカー・オブ・ザ・イヤーに相応しいクルマは2車種しかない。2車種とも日本車で、トヨタ『iQ』と日産『GT-R』。いずれも日本ののモノ作りの強さの証拠である。
イヤーカーのトヨタ『iQ』は、クルマ社会におけるエコバッグみたいな存在なのだと思う。レジ袋当たり前の暮らしを少し見直して、「足るを知る」生活をしようよ、という提案。
イヤーカーとなったトヨタ『iQ』は、軽自動車のある日本では価値の見えにくい部分もありますが、その存在はコンパクトカーの価値や概念を変えていくきっかけになると期待しています。
環境問題や原油高騰、金融危機などが渦巻いたこの1年を通して強く実感したことは、「クルマは今、大きく変わることが必要であり、求められているんだ」ということでした。
今年のイヤーカートヨタ『IQ』に関しては個人的に高い評価をしています。いわゆるマイクロカーというコンセプトは日本のメーカーとしては新しく、それを実現するために試行錯誤の後がよく見えます。その意味ではとるべくしてとったかな、と。
COTYに対する考え方は各選考委員ごとにさまざまだと思うが、私はCOTYの結果が普通の人の普通のクルマ選びの参考になると良いなと思っている。これがまず基本だ。
ボクもiQに10点を投票した39人の内の一人。理由は、今こそ小さなクルマの提案が必要だと考えたからだ。だいたいクルマ1台の生涯平均乗車率は1.2人という統計が出ていて、フル乗車することは多くない。
今年のCOTYの配点は、ある意味大変だった。配点の最高点の10点は『iQ』で決まり。3m以下の全長のパッケージの中に先進先端環境技術テンコ盛りで、今後の他車への発展にも大いに貢献するはず。『GT-R』とは別の意味で世界に誇れる。
今年のCOTYは、次世代のコンセプトを取り入れたECOカートヨタ『iQ』と、ポルシェをホンキでビビらせたスポーツカー日産『GT-R』、そして日本車には無い味を持つ輸入車シトロエン『C5』の戦いとなった。
トヨタ『iQ』が圧勝だったが、ボクのiQに対する印象は今ひとつハッキリとしていない。というのも、乗る度にクルマが良くなっていくことに驚いたからだ。
僕は選考委員を16年ほどやらせていただいているが、選考の一番大事なポイントはその時代における「意義深さ」においている。たとえ完成度がいまいちでも、今はこの方向を向いていることが大事、と思えるクルマを推したい。そういう意味でも今年は簡単に『iQ』に決まった。
今年も駆け足で投票に参加した。イヤーカーとなったトヨタ『iQ』だが私は10点を与えた。まあ順当なところだろう。クルマ作りの基本コンセプトそしてそれを実現させた技術は素晴らしい。特にあんなに薄い燃料タンクなど脱帽ものである。