2013年に初代がデビューして以来、これが3代目となる『CLA』クラス。今回お借りしたのはクーペライクな4ドアモデルで、一応CLAセダンと呼ばれる。
本来ならBEVで登場するはずだったモデルのはずだが、やはり少し時代が動いたのか、MHEVモデルも用意された。と言っても、今回採用されたMMAと呼ばれるアーキテクチャは、元来BEV用として開発されたものだから、開発時点のどこかで、やっぱりエンジンも搭載しよう…ということになったのだと思う。
◆コンパクトな4気筒エンジンを搭載
メルセデスベンツ CLA 180それにしても3代目にしてエンジン、トランスミッション、プラットフォーム、それにサスペンションと、およそメカニカルコンポーネンツのすべてを刷新し、さらにインフォテイメント系も一新しているから、まさしく丸っとフルチェンジのクルマになった。
それでも外観は、先代同様クーペ風のスタイリッシュなボディデザインで、先代と大きくは変わってはいない。エンジンルームを覗くと、ぎっしりと詰め込まれた印象で、残念ながらエンジン単体を拝むことはできないのだが、この新しいM252と呼ばれるエンジンは、1.5リットル4気筒としては、極めてコンパクトに作り上げられているという。
メルセデスベンツ CLA 180
というのも、元々BEVを想定して、エンジンルームにはモーターが搭載される予定のようだが、途中からそこにガソリンICEを搭載することになったため、コンパクトにせざるを得なかったという事情もある。
ならば3気筒1.5リットルという選択肢はなかったのか?と考えるのだが、そこがメルセデスらしく、静粛性やスムーズネスが優先されて、4気筒になったという。コンパクトにするために、排気マニフォールドはシリンダーヘッドに一体化されている。さらにトランスミッションにはモーターが内蔵され、従来は7速DCTであったものが、新開発となる8速のeDCTに変わった。
◆サス構造も一新、徹底した空力
メルセデスベンツ CLA 180サスペンションも、フロントが新たに3リンクのタイプとなり、従来のリアマルチリンクとともに、構造が一新された。例によって、下に潜ってサスペンションの写真を撮ろうとしたのだが、ボディ下面はほぼ覆われていて、サスペンションは全く見えなかった。これはなにもリアだけでなくフロントも、である。空力を考慮した結果だろうが、ここまで徹底して覆われているのは初めて見た。
インテリアは、MBUXスーパースクリーンと呼ばれる、ダッシュ全面がディスプレイ化されたものになった。ドライバー側にメーターディスプレイ、センターにナビ及びインフォテイメント系を表示するディスプレイ、そして助手席側にもやはりインフォテイメント系のディスプレイが装備される。
ルーフには、大型のパノラミックルーフと呼ばれるガラスルーフが付くが、これ、なんと標準装備である。開閉はできないが、熱線を遮る合わせガラスや赤外線フィルム、そしてLowEコーティングなるものを施してたことで、遮熱効果があるため、ロールスクリーンが必要ないのだそうである。夏のような気温にはならなかったものの、まだまだエアコンが必要な状況でも、ルーフからの熱を感じることはなかった。
◆マルチに使えるパフォーマンスカー
メルセデスベンツ CLA 180それにしても今回のCLA180、机上の数値だけを見ると決してパワフルなクルマという印象を受けないのだが、いざ走ってみると、かなりのパフォーマンスカーに感じる。48VのMHEVだから、走り始めは電気。その後にエンジンがかかるという一連の流れは、どのMHEV車にも共通とはいえ、パーシャルから踏んでいった時の加速感などは、かなりの力強さを感じさせてくれる。
ただ、新開発の8速eDCTは、加速の際に明確にシフトアップのわかる変速を示し、それが悪いとは言わないが、シームレスではない。特に比較的最近試乗したアウディ『A5』のSトロニックが、あまりにシームレスでスムーズな変速を行っていたので、それと比べた場合は明確な変速を感じ、時として若干の引っ掛かりなども感じられたので、まだ開発途上の印象が否めなかった。
逆に新しいサスペンションによる恩恵か、乗り心地は実に快適かつスムーズで、ボトムエンドのメルセデスにしてこれだから、最新のプラットフォームとサスペンションが織りなすメルセデスの乗り心地は、今後も期待大である。
メルセデスベンツ CLA 180パフォーマンスカーであると前述したが、ハンドリングも素晴らしく良い。ついつい攻めたくなる衝動に駆られるような走りの醍醐味を持ったセダンであり、一方ではスムーズに快適に走ろうと思えば、フォーマルなラグジャリーセダンとしても使えそうだから、3代目のCLAはマルチに使えるクルマである。いずれの場合も、非常に強固な剛性感を感じるボディが効果を発揮している印象である。そう言えば、少しだけセンターコンソールの高さが高いように感じられた。
今回のCLA、かなりの傑作である。お値段はそれなり。車両本体価格は598万円。131万6000円のオプションが載った試乗車は729万6000円。さらに保証プラスやメンテナンスプラスを載せた場合は760万4000円となる。ハイエンドコンパクトクラスはこんなものなのかもしれない。
メルセデスベンツ CLA 180■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
おすすめ度:★★★★★
中村孝仁(なかむらたかひと)
AJAJ会員・自動車技術会会員・東京都医師会「高齢社会における運転技能および運転環境検討委員会」委員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来48年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。最近はテレビ東京の「開運なんでも鑑定団」という番組で自動車関係出品の鑑定士としても活躍中。










