西武鉄道(本社:埼玉県所沢市)は、2027年春より新宿線に新型車両「トキイロ」を導入し、有料着席サービスを刷新すると発表した。現在新宿線で運転されている特急車両10000系(愛称:ニューレッドアロー)を置き換える。
●10000系を置き換え、型式は?
トキイロは台車や制御装置など主要機器を40000系と共通とし、車両管理上の呼称は40000系となるが、車内外デザインや設備を一新した新型車だ。製造は川崎車両。8両編成で、2027年春に4編成を導入する予定。その後の増備計画は決まっていない。
定員設定を含めたサービス内容や、運行区間、停車駅などの運行形態は、運行開始までに発表される。
現在、新宿線系統の座席指定列車は、特急「小江戸」と「拝島ライナー」がある。特急「小江戸」は西武新宿~本川越間を朝~昼は1時間毎に、夕~夜間は30分毎に運行し、車両は10000系(7両編成5本在籍、定員406人)を使用。「拝島ライナー」は西武新宿~拝島間を朝・夕~夜間に運行し、40000系(10両編成2本運用、定員440人)を使用している。
西武鉄道は2024年5月9日公表の「2024年度 鉄道事業設備投資計画」において、「新宿線有料着席サービスの刷新」として新型車両の導入検討を明示し、柔軟な運行形態や着席機会の拡充など、サービス向上を図るとしていた。
池袋線系統では特急「ちちぶ」などに001系、愛称:ラビューが2019年3月から導入され、すでに10000系を置き換えている。
西武新宿線の新型座席指定車、トキイロ(シートカラー:オレンジ)●移動時間の価値向上へ
新宿線では連続立体交差事業の推進など、次世代を見据えた整備を進めている。働き方やライフスタイルの多様化により、通勤通学などの日常の移動時間をより快適に過ごしたいというニーズが高まっている。
こうした背景を踏まえ、10000系の後継車両としてトキイロを導入し、日々の移動時間を価値あるひとときとして提供する空間づくりをめざす。
愛称トキイロは「時の色」をイメージして名付けた。朝昼夕それぞれの空の色を表現し、親しみやすいカタカナ表記とした。車両の内外装デザイン、愛称ロゴ、プロモーション計画は、空間づくりの会社である株式会社丹青社とともに策定した。
●エクステリアデザイン
エクステリア側面は朝昼夕の空の色を基調に、街並みや人々をつなぐ様子をなみ型ライン「エナジーウェーブ」で表現した。グラデーションカラーとドットデザインを採用し、見る距離によって印象が変わる。新宿線の頭文字「S」を内包し、滑らかな曲線で快適な乗り心地を表現した。
前面は朝焼けと夕焼けをイメージしたダブルフェイスデザインとし、中心部の深い紫で夜の空を表現。8両すべてで異なるカラーリングを採用するのは同社初の試みだという。
●インテリアと設備
客室はレッドとオレンジを基調とし、統一感ある空間を演出。座席はリクライニング機能を備え、さらに周囲の視線に配慮した形状とした。40000系と同様のロング/クロス転換シート車で、一般列車としても運行できるが、現時点では未定とされている。
照明は色温度を調整し、床や壁面には落ち着いた色調を採用。全車両で「SEIBU FREE Wi-Fi」を利用できるほか、各座席に電源コンセント、カップホルダー、フックを設置。トイレも備え、ビジネス利用とレジャー利用の双方に対応する。
●消費電力量約70%削減
トキイロは軽量車体やVVVF制御装置の採用により、10000系と比べ1編成当たりの消費電力量を約70%削減する。環境負荷低減と持続可能な社会の実現に向けた取り組みを推進する。
●業界内の影響度
トキイロの導入は、新宿線の有料着席サービスを最適化、再構築する戦略的更新だ。首都圏私鉄各社による着席サービスは高度化するトレンドにある。西武鉄道では、40000系ベースによる機器共通化で保守効率を高め、消費電力量を約70%削減する点も経営面で重要だ。通勤需要の変化を踏まえ、移動時間の付加価値向上と収益強化を図る動きとして、業界内の影響度は★★★と1/2(5個満点)といえる。










