佐川急便を擁するSGホールディングスグループでIT事業を担うSGシステムは、独自開発の「AI音声認識・要約ツール」を開発したと発表した。
2025年11月より、同社関東支店のコールセンター業務で本格運用を開始し、オペレーターの作業時間を約30%削減する見込みだ。
このツールは、シンプルな操作性と柔軟なカスタマイズ性を持ち、短期間かつ低コストで導入できる点が特長で、将来的にはグループ内外への提供も計画している。
SGシステムは、佐川急便の出荷関連をはじめ、保険・通信・地方自治体など幅広い業種のコールセンター業務を運営してきた。しかし、オペレーターが作成する通話記録の品質にばらつきがあることや、作業負担の大きさが課題となっていた。既存のツールは大規模センター向けで高額なものが多く、導入が困難だったという。
こうした課題を解決するため、同社はAIを活用した音声認識・要約ツールを独自に開発。通話内容のテキスト化と要約作成を自動化することで、オペレーターの負担軽減と業務品質の平準化を目指す。
開発にあたっては、同社のAIエンジニアがプロンプトエンジニアリングを行い、生成AIが作成する要約文の品質を高めた。2025年3月から4月にかけて実施した実証実験では、保険会社と複合機メーカーのコールセンター業務において、月約180時間の作業時間削減効果を確認したという。
ツール導入により、AIによる要約で記録品質が安定するほか、PC操作が不得意な人材でも電話対応スキルを活かして活躍しやすくなるなど、多様な人材の活躍促進にも貢献する、としている。
今後は、現場の意見を反映しながら機能強化を進め、沖縄コンタクトセンターやグループ会社へ展開するほか、外部企業へのツール提供も視野に入れている。中小企業にも導入しやすい低コストなソリューションとして提供していく方針だ。



