ソニー・ホンダモビリティの周藤泰広氏(オートノマスシステム開発部 AIモデル開発課 シニアマネジャー)が11月12日、ブログ「Tech Blog」を公開して、AFEELAの先進運転支援「AFEELA Intelligent Drive」を支えるAI開発の現状を述べた。
●リッチなセンサー活用とハード・ソフトの垂直統合で差別化
周藤氏は「AI開発において学習効率の向上は極めて重要な課題です」と書く。氏はまず、膨大なセンサーデータによるCPU処理の遅延を改善し、GPUの有効利用率を開発当初の3倍以上へ高めたと説明した。週単位でモデルが更新される中、ボトルネックを特定し続ける高速サイクルが鍵だとしている。
周藤氏は「マルチタスク学習における勾配の衝突といった問題にも直面しています」と言う。性質が異なるタスクを同時に学習させると、互いの学習を阻害して精度が低下してしまうそうだ。そこで、タスク間の不整合を解消する新たなマルチタスク学習手法を導入し、シングルタスクを上回る精度を達成したと報告。
さらに、SDマップとリアルタイム情報を統合することで、見通しの悪いカーブの状況予測など認識能力の向上を図っている。
周藤氏によるとソニー・ホンダモビリティは後発企業として、リッチなセンサー活用とハード・ソフトの垂直統合で差別化を狙う方針で、言語モデルとの連携による行動予測など高度タスクへの発展も視野に入れているという。
●アメリカでAFEELA 1の体験デモ
ソニー・ホンダモビリティの米国子会社であるソニー・ホンダモビリティ・オブ・アメリカ(SHMA)は10月4日および11日(現地時間)、米カリフォルニア州サンタバーバラ・モンテシトおよびナパバレーで開催された「パーム・ツリー・ミュージック・フェスティバル」の公式スポンサーとしてAFEELAの第1号モデル『AFEELA 1』を展示している。
会場では、来場者がAFEELA 1の体験デモに参加でき、同車に搭載された独自のサウンドシステムなど、テクノロジーとライフスタイルの融合を象徴する演出を行なった。
SHMAは、モビリティを単なる移動手段ではなく、感性とつながる体験へと変えるというブランド理念「AFEELA」が掲げる“知性と感情の融合”を、こうしたプレミアムなイベントを通じて発信している。
なお、AFEELA 1の米国市場での納車開始は2026年中旬を予定している。
●AFEELAに“感じる”
ソニー・ホンダモビリティによると、ブランド名と車名の「AFEELA」は、ソニー・ホンダモビリティが考えるモビリティ体験の中心に存在する“FEEL”を表したものだ。人が、モビリティを“知性を持つ存在”として「感じる(FEEL)」こと、また、モビリティがセンシングとネットワークに代表される先進技術を用いて、人と社会を「感じる(FEEL)」こと、というインタラクティブな関係性を表現しているという。
ソニー・ホンダモビリティは、ソニーグループと本田技研工業(ホンダ)が2022年に設立したモビリティテックカンパニー。企業パーパスに「多様な知で革新を追求し、人を動かす」を掲げ、モビリティ業界のイノベーションをリードすることをめざす。2社の技術、知見や開発力を融合し、様々なパートナーやクリエイターとともに高付加価値モビリティの開発・販売およびモビリティ向けサービスを提供する。





