NECは、沖縄県内で自動運転バスの実証実験を実施し、観光地特有の交通課題に対する有効性を検証している。実験は、10km以上にわたる既存路線を使って行われており、この距離での運行は全国的にも珍しいという。
◆観光地ならではの交通事情を背景に
沖縄は観光需要が高く、レンタカーの利用が多い地域として知られる。プロジェクトを担当したモビリティソリューション統括部の紀平知慧氏は「観光客の数だけ車が走るような状況で、幹線道路では時間帯によって必ず渋滞が起きてしまう。二輪車や自転車も少なく、結果として自家用車への依存度が高い」と説明する。一方で、地元住民の間では高齢化が進み、免許返納を考える人も増えている。バス運転手の人手不足もあり、交通手段の維持は喫緊の課題となっている。こうした背景から、自動運転バスへの期待は高いという。

◆長距離ルートでの課題抽出
今回の実証実験では、実際の生活路線に近い長距離区間で自動運転を行い、現場で発生する課題を洗い出した。紀平氏は「実際の運行中に、路上駐車車両をどのように回避するかといった課題が見えてきた」と振り返る。地域住民からは「免許を返納したあとも定期的にバスが運行されるのはありがたい」「自動運転バスが根付けばうれしい」といった声も寄せられたという。