VWグループ傘下のMANは、9月9日から14日まで開催されるカンヌ・ヨット・フェスティバル2025において、新型ハイブリッドシステム「マン・スマート・ハイブリッド・エクスペリエンス」を初公開すると発表した。
今回展示される新システムは、同社最新の30リッターV12Xエンジンと400kW電動モーターを組み合わせたもので、システム全体で2000kW(約2720hp)の出力を実現する。これにより、大型ヨットや高性能が要求される用途への対応が可能となる。
新型V12Xエンジンは、従来の24リッター排気量のV12エンジンとほぼ同じ設置寸法でありながら、最大1618kW(2200hp)の高出力を実現している。2200バールの噴射圧力を持つ新しいコモンレール噴射システムや最適化された冷却・オイル供給システムなど、多数の技術的改良が施されている。
ハイブリッドシステムは、エンジン、電動モーター、高電圧バッテリー、パワーエレクトロニクス、冷却・制御システムを統合したワンストップソリューションとして提供される。モジュラー設計により、船舶の個別要件や運転プロファイルに合わせてシステムをカスタマイズできる。
運転モードは多様で、排出ガスゼロでほぼ無音のバッテリー電動モードから、ディーゼル電動運転、両方のパワートレインが異なるモードで動作するクロスオーバーモードまで対応する。ブーストモードでは、ディーゼルエンジンと電動モーターの組み合わせにより最大性能を発揮する。
システムアーキテクチャは、総出力の最大35%までのハイブリッド化レベルに対応し、すべての一般的なトランスミッション構成と互換性がある。高電圧バッテリーは最大600VDCで動作し、DCリンク電圧はコンバーターにより660DCから780DCまで必要に応じて調整される。
マン・エンジンズの全海洋エンジンは、ヨーロッパのEN15940規格および米国のASTM D975仕様に準拠した再生可能ディーゼルの使用が承認されており、CO2排出量の大幅削減を可能にしている。