ヤマハ発動機は2025年6月、新薬開発を目的とした研究・実験の効率化・精緻化に貢献する細胞ピッキング&イメージングシステム「セルハンドラー2」を、米国のがん研究所「フレッド・ハッチ・キャンサー・センター」へ納入したと発表した。最先端の「希少がん」研究に活用される予定。「CELL HANDLER 2」の納入は3例目で、海外では初めてとなる。
フレッド・ハッチ・キャンサー・センターは、米国でがん等の研究・治療に取り組む先駆的な非営利機関。がんやHIV/AIDS、COVID-19に関する研究で国際的に高い評価を受けている。
今回、「セルハンドラー2」を導入したのは、症例数の少ない「希少がん」に対する既存の薬剤の有用性を探索しているタラン・グジュラル博士の研究室。がんと診断された患者のうち約4分の1が「希少がん」に該当するが、タイムリーな診断が難しく、研究モデルや治療法が確立していない事例が多くあるという。
小さく切断した患者のがん細胞に薬剤を投与し、効果を検証する作業において、人の手で行っていた細胞の選定と移動を「セルハンドラー2」が担うことで研究を効率化し、「希少がん」の治療法探索に貢献することを目指す。
ヤマハは2025年3月、細胞(塊)の取り扱いやデータ取得を高速・高精度に行う細胞ピッキング&イメージングシステム「セルハンドラー」の後継機「セルハンドラー2」を発売した。従来の高速かつ正確なピッキング機能に加え、AIによる細胞の自動選別や細胞周辺の画像を自動で繋ぎ合わせた「タイリング画像」の自動生成などの機能を備える。細胞吸引後の画像撮影におけるトレーサビリティも向上し、細胞を扱う研究のさまざまな工程における作業を省力化するとともに、さらに精緻な作業を可能とし、信頼性の高いデータ構築に貢献する。