自動配送ロボットが切り拓く未来、NEDOが社会実装に向けて資料取りまとめ

地域でロボットが活躍するイメージ
  • 地域でロボットが活躍するイメージ
  • 海外における中速・中型ロボットの活用状況:Nuro(米国)
  • 海外における中速・中型ロボットの活用状況:Coco
  • 海外における中速・中型ロボットの活用状況:Cartken
  • 楽天無人配送(東京都晴海周辺)

自動配送ロボットは、物流分野の人手不足対応、買物困難者支援などに貢献することや、大規模な経済的効果や雇用を創出する成長産業として期待される。


NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)は、2024年7月に立ち上げた「より配送能力の高い自動配送ロボットの社会実装検討ワーキンググループ」において自動配送ロボットの目指すべき姿や、社会実装に向けたロードマップについて取りまとめ、2月26日公表した。

◆「自動配送サービス」の社会実装が本格化

NEDOは、経済産業省と連携し「自動配送ロボットによる配送サービスの実現」プロジェクトを進めている。本取り組みは、物流分野における人手不足や買物困難者の問題を解決することを目的としている。2023年4月には改正道路交通法が施行され、低速・小型の自動配送ロボットが公道を走行できるようになったことで、社会実装が本格化した。

2027年には約24万人のドライバー不足、2030年には物流需要の約34%が運べなくなるとの試算がある。また買物困難者も増加しており、これらの課題への対応が求められている。自動配送ロボットは、自動運転車やドローンと並び、ラストマイル配送の省力化手段のひとつとして位置付けられる。NEDOによると、諸外国では、低速・小型ロボットよりも速度が速く、大きい「より配送能力の高い自動配送ロボット」を活用した配送サービスが広がっているという。

◆社会実装に向けたロードマップの3つの観点

ワーキンググループでは「より配送能力の高い自動配送ロボットの社会実装に向けて」、期待されるユースケース、産業界が求めるロボットの仕様と運用、社会実装に向けたロードマップの3つの観点から議論が行われた。実証実験を通じて「目指すべき姿」の精緻化を進め、将来的な社会実装に繋げるための“基礎資料”を取りまとめた。

●期待されるユースケース

期待されるユースケースとしては、個人宅への配送、移動販売、B2B搬送が挙げられる。低速・小型ロボットよりも最大積載量や稼働率の向上、配送時間の短縮が可能になる。宅配便や無人移動店舗としての活用が広がることが期待される。

●産業界が求めるロボットの仕様と運用

期待されるユースケースを実現するため、ロボットの仕様と運用について産業界のニーズとして取りまとめた。例えば中速・中型ロボットは、軽自動車より小型で、最高速度は20km/h、道路の左側を通行するという仮説が立てられた。安全性や既存交通との調和を考慮し、関係省庁との協議を重ねながら、社会実装に向けた取り組みを進める。

●社会実装に向けたロードマップ

社会実装に向けたロードマップでは、今後3年間を「集中的な実証実験期間」とし、関係者間での知見共有や目指すべき姿の精緻化を進めることが示された。今後、産業界各者による実証実験の積み重ねを通じて、目指すべき姿の精緻化を行うことが重要であるとする。

◆経済的・社会的効果の試算結果

中速・中型ロボットについては期待が大きいことから、ワーキンググループでは経済的・社会的効果の試算を行なった。新たな付加価値・雇用等の創出により、間接的なものも含め年間数千億円規模の経済効果が期待されるという。例えば、物流分野の人手不足により運べなくなると想定される宅配便配送量の、約9.0%をカバーし、買物困難者が必要とする物量の約3.0%をカバーすることが期待できるという。

NEDOは、経済産業省や一般社団法人ロボットデリバリー協会などと連携し、社会受容性の向上を図りながら、自動配送ロボットの社会実装を推進していく予定だ。

《宗像達哉》

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