<講師>
株式会社国際経済研究所 特任研究員 小林 浩 氏
日本のカーシェア市場は、コロナ禍だった期間も含めて毎年順調に拡大している。公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団が毎年3月に調査を実施しているが、2024年3月時点で貸出用の車両は対前年19.6%増の67,199台、会員数は対前年23.2%増の3,855,761人となっている。(会員数は個人間カーシェアサービスプラットフォームのAnycaを除く。) 最大手タイムズカーを運営するパーク24(株)のIR公表データによると、会員の約40%は法人会員であり、この比率は近年ほぼ安定的に推移している。法人市場はカーシェア事業成功のための鍵を握ると言ってよい。
(株)国際経済研究所でもカーシェアについてはこれまでも動向を分析してきたが、法人ユーザーについては十分解明出来てはいなかった。法人の場合は、車両のユーザー(営業スタッフなど)と法人契約の意思決定者(経営陣、または総務部など)が一致しないことも多い。広範なインターネット調査を行えば車両のユーザーの声を定量的に分析することは出来るが、意思決定者に関しては必要十分な人数にアクセスするのが容易でないという構造的な難しさがある。そこで今回は、カーシェア法人会員になっている複数の会社の契約意思決定者に徹底的にインタビューすることにより、生の声から法人ユーザー攻略の糸口を掴むことを試みた。(フォーカスグループインタビュー調査)
そこで見えてきたのは、カーシェア法人契約をしている会社が、カーシェア利用を開始したきっかけは想定以上に多岐に渡り、かつ合理的な判断に基づいていることである。また、決裁者と利用者両方の満足度とロイヤルティーが極めて高いのも特筆すべき点である。本セミナーでは、最新の市場動向をデータで確認しつつ、カーシェア法人ユーザー決裁者の胸の内に迫り、市場の40%を占める最重要セグメントをどのように攻めるのが有効かを考察する。
1.日本のカーシェアの市場動向
2.法人ユーザーの使用状況(個人ユーザーとの違い)
3.法人ユーザー決裁者の本音(利用のきっかけ、比較検討状況、決裁で重視したこと、満足点・不満点、今後の意向など)
4.1人勝ち首位タイムズカーは法人に何をアピールしているのか?
5.データと本音が示唆すること
6.カーシェア後発組が戦う視点
7.質疑応答